国債からFX(為替相場)を考える

週明けのロンドン市場はアイルランド支援を受けた欧州勢の反応が中心となりそうだ。28日の欧州財務相会合で850億ユーロ規模のアイルランド支援が発表されている。週明けのシドニー市場ではユーロ買いの反応もみられたが、その後始まった東京市場では売りに押される展開となっている。

国債からFX(為替相場)を考える

今回はかなり私感に基づく「バイアス」が入った見方ですが、予めご容赦ください。

 

わが国には2種類のホーム・バイアスが存在すると思っています。ひとつは、いうまでもなく海外資産と比較した国内資産への投資選好で、外国株式より日本株式、外国債券より国内債券を好む、「ポジティブ」・ホーム・バイアス。

 

もうひとつは、逆向きの「ネガティブ」・ホーム・バイアスで、オルタナティブ投資など新しい金融商品にみられがちな、舶来モノ的海外ブランド選好や、「海外には国内にない何か'がきっとあるはず!」という期待とか「もはや日本の将来は暗い・・・」というような悲観に基づくオフショア嗜好・海外志向です。

 

日本銀行

 

わが国のポジティブ・ホーム・バイアスは、グローバルにみても強いものだといわれてきましたが、ここ数年、投資家層によっては大きな違いが生じています。背景には、国内株式への投資を削減するという共通の動きがありますが、問題はその次の行動です。年金や個人など相対的に懐の深い投資家層が成長の期待できる新興国などの外国株式やより高いイールドを求めて外国債券に向かっているのに対して、銀行や保険などの金融機関は国内債券とくに日本国債に文字通り一極集中しています。

 

全銀協の統計から、平成21年度(2010年3月期)における全国銀行の主要数字を
拾ってみました。

 

預金(末残) 588兆円
貸出金(末残) 449兆円(預貸率 76.4%=貸出金/預金)

有価証券(末残) 231兆円(預証率 39.3%=有価証券/預金)

 

地方の資金需要がとくに脆弱なことから、たとえば信用金庫の預貸率は史上最低の54.6%まで低下しています。預貸率が50%を下回る地方金融機関はかなり増えており、結果的に預金として預かった'余剰資金'は有価証券運用に回ります。そして、その有価証券運用のほとんどが国債に向かうため、銀行資産に占める国債比率と、国債保有残高に占める銀行セクターの比率という二面で、国内銀行の国債保有率は年々上昇しています。

 

総資産の90%が国債に回っているゆうちょ銀行と合わせると、国債全体の41%にあたる
338兆円が銀行部門により保有されています(2009年12月末、日本銀行)。

 

(日本銀行)

 

一方、資金需要の低迷と金利低下から、銀行の本業収益は薄利かつ窮屈になってきました。

 

資金運用利回り 1.45%(うち貸出金利回り1.79%、有価証券利回り0.90%)
資金調達原価 1.20%(うち営業経費率1.04%)

総合資金利鞘 0.25%

 

(全銀協)

 

預金などの調達金利(0.22%)が低いとはいえ、営業経費率1.04%(これもずいぶんコスト削減が進みました)すら下回る10年固定金利(クーポン0.80%)の逆鞘運用を、総預金の50%ほども行うような事業環境が'定着'するなら、これはどう考えてもたいへんです。市場リスク管理というテクニカルな話ではなく、ビジネスモデルの存続に関わるような次元の事業リスクそのものです。

 

ところで、こうした国内銀行の極端な国債選好が'規制'の産物であることは、日本国内ではかなりの市場参加者が理解しているでしょう。マクロ運用のヘッジファンドなど一部の海外勢が「日本ソブリン・リスク」を囃してCDSを買い、国債を売り仕掛けたところで、日本国債利回りは低下し続けてきました。当然です。国内にはゆうちょを含む銀行など金融機関の膨大な買い需要があります。しかしながら、皮肉なことに銀行はリスク回避のために自ら国債に資金を投下し続けることで、自らの事業基盤・存立基盤を揺るがしかねないような市場環境を作りだしてしまったということもできます。

 

問題は持続可能性です。消費者金融会社は「借り入れは計画的に!」とCMをやっていますが、具体的な返済計画のない公共セクターの借金が膨らみ続けるこの構図は、永続可能なのだろうかという本質的な疑問は誰もが抱いているはずです。仮に、もしそうでないとしたら、いつ頃、どうやってこのサイクルから抜け出すことができるのでしょうか。'子どもたちや孫たちの世代が生活を切り詰めてでも返済してくれる'ことを前提に、いつまで私たち現役世代は政府を通じた借金を増やし続けることができるのか。

 

2006年以降のわが国全体のリスクからの逃避は尋常ならざるものがあるような気がします。

 

何ごとにも限界があるわけで、無限に借金し続け、そのお金を消費し続けられるはずがないことが自明だとするなら、政府債務もその例外ではありません。すると、また堂々巡りの議論で、ではいつどのような形で収束するのか、あるいは弾けるのか。。。

 

よく、わが国個人金融資産1,400兆円ということをいいますが、国債発行残高734兆円(政府実質債務総額970兆円)(2010年6月末、財務省理財局)。1,000兆円の大台にリーチです。こうしたストックの水準というか、規模のトリガーのようなものについて市場がどう反応するのか。

 

需給はどうか。国債の主要な買い手が今後も買い続けられるのか、買い手自体の体力がどこまでもつのか。有価証券ポートフォリオも時間とともに償還落ちが続き、平均運用利回りは今後も時間とともに低下し、その体力を徐々に奪うでしょう。もし経費圧縮も限界なら、構造不況に陥った業種の運命は歴史に振り返ることができます。

 

わが国では、史上例のない金融緩和と財政支出の政策ミックスにもかかわらず、実体経済の信用創造メカニズムが麻痺し、溢れ出た流動性が市場のボラティリティに低下圧力を加え続けているようにみえます。ポジティブ・ホーム・バアスの下では、国債という規制上の無リスク資産'を買い、リスク資産をショートし、ボラティリティをショートしておくことが、リーマン危機後のデレバレッジ局面で一貫して有効に機能してきました。

 

とここまでの結論としては、市場の方向性は予測できませんが、市場の不安定化に対する備えは不可欠だと思われます。次号以降では、その備えのひとつとなるかもしれない、'ネガティブ・ホーム・バイアス'を考えます。

 

 

 

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アイルランド国債のソブリンリスク

ノワイエ仏中銀総裁は東京でのフォーラムを終えた会見で、アイルランドはギリシャ問題とは違う点を強調していた。ソブリンリスク問題に対応するために特段必要に迫られていない金融支援を実施するとの意向が見え隠れしていた。ただ、市場の見方には懐疑的な面もある。緊縮財政策が同国の景気回復への道のりを長引かせるとの懸念もある。12月7日にはアイルランド議会で2011年予算案が無事通過するのか、市場のアイルランドへの関心が続いている。

 

ユーロドルの為替相場は売りトレンドが継続している。この流れにアイルランド支援がどの程度のインパクトを与えるのか、欧州勢の反応を確認したいところだ。

今週から12月の為替相場(FX)突入。いよいよ2010年もあとわずかです。月初ということで金曜日はいつもどおり米雇用統計(11月)が予定されています。今月5日に発表された10月の非農業部門雇用者(NFP)は6万人増の予想に対して驚きの15.1万人増を記録。民間部が事前予想をはるかに上回る15.9万人増(政府部門は0.8万人減)の好結果。民間部門は9月も10.7万人増(改定値、速報ベースでは6.4万人であった)と二ヶ月連続での10万人越えと雇用市場の回復傾向が如実にあらわれた形です。